最近、“プログラミング”と同じくらい“探究学習”で検索して、当教室のサイトを訪れて、問い合わせてくださる方が増えてきました。

「時代は変化しているのに、このままの教育で本当にいいのだろうか?」

「これからの時代に必要な学びって、いったい何だろう?」

そんな問いを抱えている方が多いのだと思います。

Webエンジニアである私も、実は同じような問いからこの教室を始めました。

とはいえ、「プログラミングも自然体験もするこの教室って、一体どんな教室?」と不思議に思われる方も、きっと少なくないでしょう。

TANSAKU代表。Webデザイナー(フロントエンドエンジニア)で、SAMURAI ENGINEERプログラミングスクール講師

TANSAKUの教育方針は、一般的なカテゴリーには当てはまりません。というのも、既存の教育の枠組みの中でスキルや知識を教えること自体に、本質的な価値を感じていないからです。

TANSAKUが本当に大切にしているのは、子どもたちが受け身の学びから抜け出し、自ら問いを立て、主体的に探究し、創り出す力を育てること。“プログラミング”や“自然体験”は、その力を育むための入り口であり、子どもたちが本質に触れ、感性を磨くきっかけや素材のひとつに過ぎません。

AIが答えを出す時代に求められるのは、「決められた正解を当てる力」ではなく、「自分なりの視点で問いを立て、自分の納得値を出す力」。だからTANSAKUは“プログラミング”だけの教室をしないのです。

ちなみに、プログラミングはもはや一般教養だと私は捉えています。なぜなら、これまで主流だった「ググる」ことから、「AIとチャットする」時代に変わりつつあります。今後、AIと会話する機会はすごく増えていくと思いますが、曖昧なやり取りになってしまうのか、それとも自分が本当に求めている明確な答えを得られるか、というときに論理的思考はとても役に立ちます(人間同士のやり取りも同じだと思いますが)。勉強の土台として国語の能力が必要であるように、これからの時代は「プログラミング的思考」がますます問われると思います。

春の1か月無料体験会に参加した生徒(奥の2名)と、後ろでサポートしてくれているのはTANSAKUの卒業生たち

なぜ今、「探究」なのか

プログラミングには、「考え方を工夫する力」や「ゼロから何かをつくる力」が求められます。しかし、ただ技術を覚えてもその力は育ちません。

TANSAKUが本当に育てたいのは、「自分の頭で考え、創り出し、自分で決める」姿勢です。なぜなら、情報が溢れかえった現代社会では「決断する力」がないと、AIが出力した答えを自分で吟味できず、鵜呑みにしてしまう人間が大量に生まれるリスクがあるからです。

だからTANSAKUは、自ら問いを立て、考え、選び取る探究力を重視しています。誰かがつくった正解を探すのではなく、探究力こそが、より良く生きるために普遍的な力であり、変化の時代を生き抜くための武器になります。

ただ誰かの後ろについていくのではない。自分の経験値を自分の力で積み上げていく学びは、自信につながる。非日常の体験が知的好奇心を刺激し、子どもの可能性を広げる

学校では教えてくれない「考える力」

読み書きや計算といった「やり方」は、学校で丁寧に教わります。質問に対して答える力も、それなりに身につくでしょう。しかし、「自分はどのように考えるか」「何を基準に判断すべきか」といった考え方そのものは、ほとんど教わることがありません。むしろ、決められたことを受け入れることのほうが多いですね。

ところが社会で活躍するとき役に立つのは、多角的に物事を分析して考える力です。

私がこの重要性に気づいたのは、社会人にプログラミングを教えているときのことでした。プログラミングというのは、問題に対し正解が一つではないので、高い学歴や豊富な知識があっても、思考の軸がなければ応用も創造もできず、自分の頭で答えを導き出すことができません。結果、一生懸命に努力しているのにも関わらず、成果に結びつかないのです。

結局のところ、単なる知識の量より、「その知識をどう応用するか」という思考力が物を言います。

思考、試行、思考、を繰り返す

「安定した心」が深い思考を支える

子どもたちの様子を見ていて、これは実感します。同じツールを使い、同じ課題を与えても、アウトプットされるものは大きく異なります。

心が落ち着いた状態では、勇気を持って自分の世界を広げ、試行錯誤を重ねながら最後まで粘り強く取り組み、形にすることができます。「なんの根拠もない自信」が背中を押しているのだと思います。

一方、心が不安定なままでは集中が続かず、エラーの原因を追究する力も発揮されません。こうして「上手くいかない」経験が重なると、人は思考を避け、気晴らしの消費活動に流れてしまう可能性があります。

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「技術」だけでは足りない

今や、プログラミングでさえAIが自動で書ける時代になりました。与えられた課題を効率的に解決する力は、これからますますAIが担っていくでしょう。

だからこそ、これからの時代に求められるのは、そもそも「何が問題か」に気づく視点を持てる人だと思います。そのような微細な違和感や変化を捉えるために、子どもたちにAIには真似できない感性を育ててほしいと願っています。

その感性は、机上の学習だけでは身につきません。自然の中で五感を働かせ、偶然や発見に満ちたフィールドワークを重ね、人との関わりを通してこそ、ゆるやかに育まれていくものです。

思考力、創造力、学ぶ意欲、挑戦する気持ち、そのすべての土台になっているのが感性です。

札幌龍谷学園高等学校での探究活動。専門の先生のもと、仲間との協力や情報リテラシーの重要性をゲーム形式で楽しく学んだ。

「探究」こそ、未来を切り拓く力につながる

現代の技術や流行を学ぶ前に、まず「なぜそれが生まれたのか」を、ぜひ親子で一緒に探ってみてください。例えば「なぜプログラミングを学ぶ必要があるのか」、あるいはお金に興味がある子なら「貨幣はいつ、どうして生まれたのか?」など。ネットや図書館を使って、自分で調べ、考え、情報を集める体験こそが、深い学びにつながります。

知識が整理された本を与えるのは良さそうですが、知識を得ただけで満足してしまい、探究心がそこで止まってしまう可能性もあります。一見遠回りで非効率に思えても、子ども自身が試行錯誤しながら学ぶプロセスを大切にしてください。

探究とは、「自分は何が好きで、どうしたいのか」という問いから始まります。そんなふうに自分の人生に問いを持つことが、本当の学びや成長、ひいては自分の人生への納得感につながっていくのではないでしょうか。

自分の好きなことを探究できるのは才能

子どもの「今」の過ごし方が、未来をつくる

今、多くの子どもはゲームにハマっていますね。別にゲームをやめる必要はないと思います。ChatGPTと暇潰しの会話するのもまぁ良いでしょう。

ただ、できるだけ自分に残るものに時間を使ってほしいなと思います。デバイスを見る時間以上に、自然の中に出て、広い世界に直接触れ、自分の心と対話する時間を大切にしてほしいから、TANSAKUには野外プログラムがあります。

季節を通して、自然の表情を見たい。学習向上のもとになる体力・集中力・忍耐力をつけたい

▼当教室の活動内容をもっと知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

また、教室の雰囲気や子どもたちの活動を、実際にご覧いただくことができます。見学は随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。