今年度の発表会を開催し、保護者の皆さんに子どもたちの成長をご覧いただきました。一人ひとりが学びを自分の言葉で発表する姿に、確かな成長を感じることができました。

昨年新設した「Scratch×自然体験コース」をメインに、今年度はより探究的な野外学習を増やし、多くの体験を重ね、教室ではAIを活用しながらプログラミングに取り組みました。

途中入会した生徒も、自然体験を通じてすぐに仲間に溶け込みました。野外だと、学年や経験の差は関係なく自然に協力し合う関係が生まれます。プログラミングもほとんどの子が未経験からのスタートですが、少人数制なので一人ひとりのペースで無理なく学習を進められます。

また、これまでは4月~12月を一期として運営していましたが、次年度からの通年化に向けて、この冬は在籍生徒を対象にオンライン授業を開始します。次年度から4月~12月が教室、1月~3月がオンライン授業となる予定です。

時代が変われば学び方も変える

この教室を始めた当初、社会がここまで急速に変化するとは思っていませんでした。

これまでも当教室は、基本「教える」授業スタイルではなく、自分で調べる(検索する)癖をつけさせていましたが、今年度からはAIを使って問題解決できるように促したところ、どんどん自分で学習を進められるようになっています。

Scratch×自然体験コースの生徒には、自然体験の振り返りをブログ形式で書くHTMLコーディングする機会も設けました。Scratchやマイクラなどビジュアルプログラミングはプログラミングへの興味のきっかけにはなりますが、アプリケーションソフトを操作しているに過ぎません(もちろんプログラミングの考え方は学んでいますが)。

プログラミングして機械の構造を理解できると、AIに対してもより的確な指示を出せるようになります。人とのコミュニケーションに国語や英語が必要なように、機械と対話し自分のアイデアを形にする現代では、プログラミング言語への一定の理解も必要だと考えます。

時代が変わっても、まだ意識は変わらない人が大半

私がこの教室を始めたきっかけは、令和3年度に札幌市のGIGAスクール事業に携わり、公立小中学校の教育現場を目の当たりにして「このままでは子どもたちが社会に出たときに困る」と強く感じたことでした。

あのとき先生方に、内閣府のサイトにある図を見せながら「Society 5.0への移行が始まっている」ことを説明していましたが、みなさんも今、その変化をリアルに感じているのではないでしょうか。

AIやデジタル技術を使いこなして新しい価値を生み出す人と、旧来のやり方に固執する人との差が開いていっています。後者は今もSociety 4.0の世界に留まり、現実が二極化していることにさえ気づいていないようです。

内閣府のサイト「Society 5.0」より。狩猟社会から情報社会を経て、新たな創造社会へ

親は旧来の常識をいったん捨て去る

今、保護者のみなさんが最も知りたいのは「子どもの将来に向けて、何をどう備えればよいのか」その答えではないでしょうか。私もずっとそれを考えてきました。

日中、私はオンラインプログラミングスクール講師として社会人に教える中で、気づいたことがあります。今の時代、良い大学を出て就活を勝ち抜いて大企業に勤めても、1〜2年で辞めてしまう若者が少なくありません。彼らは「受験」「就活」という短期的な目標は達成してきたものの、そこから始まる長期的なプランを描いていない。

なぜか。終身雇用が前提だった時代は、人生プランが決まっていたので問題なかった。それが常識の大人に育てられて社会に出てみたら時代は変わっていた。ノープランでは適応できない、今までのやり方では通用しないわけです。

自分の人生をデザインする力が必要

だから今の子どもたちは自分でプランを考える必要がある。事業を行うときに事業計画を綿密に練るように、よく考えてみれば、最も重要であるはずの自分の人生が無計画で行き当たりばったりというのは不安で仕方ない。特に「個の時代」と言われる現代社会では、個々が納得する生き方を考える必要があるのです。

といってもそんなに難しく考える必要はありません。ニンテンドースイッチやネトゲーに熱中するように、自分自身の人生をもっと戦略的におもしろがれたらいいと思います。子どものうちから自分で考えて決定する習慣をつけることは、思考力が向上し、自律の訓練にもなります。

自律した子に育つために、親はできるだけ手をかけない

子どもが考えてプランを実行するとき、親は、失敗しないように決して先回りしないでください。

親はできるだけ挫折の機会を取り除こうとしがちです。そうではなく、子どもの力を信じて見守ること。若いうちにたくさん失敗や挫折の経験をさせること。そこから思考力、生きる力は鍛えられます。

勉強しなさいと言わない

もちろん基礎学力は重要です。しかし今の時代、勉強だけしていて大丈夫なわけがない。与えられたコンテンツをいくら学んだところで、現代社会を生きる力は身につきません。思考力は言われたことだけをしていては決して育ちません。

私は今の時代、勉強やプログラミングを「教える」ことにも違和感があります。文部科学省は「個別最適な学び」を掲げていますが、「個別最適」な学びを与えられるというのは、どうも腑に落ちない。自分に最も合った学習方法は自分にしかわからないのだから、自分で見つけて学べばよい。質の高い学習コンテンツは溢れかえっています。

それよりも、自分のプランを立て、それに向かってどんな手段を取るのか、「個別最適な人生」をサポートする方に教育はシフトすべきだと思います。

行動する。一次情報を取りに行く

文部科学省も重視する子どもの自律。自律した人とは、常に探究心を持ち、課題を見つけ、実行できる人のことです。

そのために必要なのが、たくさんの経験を積むこと。自然の中で遊ぶ、スポーツ、体験学習など、机上だけでなく実際に体を使った学びは貴重です。なぜなら、それらは五感を使って体験する、脳にとっては「一次情報」の入出力だからです。
学校の勉強もインターネットの情報も、全て「二次情報」。AIがいくら賢いといっても二次情報しか扱えません。

体験する。その結果(得手不得手や好き嫌いなど)自分について知る。この積み重ねが、AIには代替できない人間ならではの能力を育てます。これこそが、どんな時代をも生き抜く力の源泉です。
自分というものは、常に成長し変化し続けます。だから体験を通じて自分を知り続けることが必要なのです。

子どもの「好き」「やってみたい」を育てる

プログラミングも自然体験も、TANSAKUでの学びはすべて、子どもたちが自分の人生をデザイン(設計)する力を育むための手段です。

一人ひとりの「好き」「やってみたい」を大切に、マニュアルに沿って学習するのではなく、自分で考え創る力をつける。自分というものを知っていく。

第4期も充実したプログラムを準備中です。ご家庭と教室が連携しながら、子どもたちの成長を見守っていければと思います。プログラムへのご参加やご質問など、お気軽にお問い合わせください。

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